決算書は財務諸表ともいわれています。
決算書は税法の呼び名であり、財務諸表は二つの柱で構成されています。
ひとつは「貸借対照表」、もうひとつは「損益計算書」です。
損益計算書は、企業が一年間でいくら儲かったかの状況をあらわすものです。
貸借対照表は、その儲かった結果、財産や借金がいくらになったかをあらわすものです。
これら損益計算書と貸借対照表の2つの状況を、現実の現金の増減だけで表したものが、キャッシュフロー計算書です。
損益計算書と貸借対照表の2表だけでは、現金の流れが十分に表せないことから、従来の2表を補完するために出てきたものです。
キャッシュフロー計算書は、公開企業に開示が義務づけられており、公開していない中小企業などについては義務づけがありません。
貸借対照表とは、企業の資産と負債の状態を示したもので、資産と負債及び純資産を対比して読み取れるように表したものです。
この3つの関係は、単純化して考えてみるとよいでしょう。
現在、定期預金100万円と設備2900万円の財産があるとすれば、その財産を手に入れるための資金をどうやって調達してきたのでしょうか。
1つは、銀行からの2400万を借り入れて、残り600万円は、自分の手元にあった資本金ということになります。
貸借対照表は左右に分かれており、左側に資産の部、右側に負債の部と純資産の部の構成になっています。
そして、左右の合計額は必ず一致するようになっており、貸借対照表がバランスシートとよばれるのはこの性質によるものです。
左側の資産の部には、企業が保有している財産とその金額が表示されています。
右側は、その財産を入手するために資金をどうやって調達してきたかを示しています。
これは、資金調達の方法が2種類だけなので、上部に他人から借りてきたものである負債、下部に自分のものである純資産と分けてあります。
では、具体的に、どのような内容が記載されているかみてみましょう。
資産も負債も、基本、現金化しやすい順に並んでいます。
左側の「資産の部」では、流動資産、固定資産に区分されています。
これは、「ワン・イヤー・ルール」といって、決算日後、一年以内に現金化が可能なものを「流動」、一年を超えてしまうものを「固定」として区分するためです。
また、右側の「負債の部」についても同様に、流動負債、固定負債、と「ワン・イヤー・ルール」で区分されています。
なぜ、このような区分がされるかといえば、主に、企業の支払能力を測りやすくするためです。
取引先が、きちんと代金を支払ってもらえる会社かどうかの与信管理のためにも重要な参考データとなります。
事例の流動資産と流動負債の欄を見てください。
流動資産から流動負債の数値を引くと、流動資産が多くなっています。
つまり、短期の借金があっても、それを上回る現金を短期に確保し返済することができるということです。
企業の短期的な安全性を見たい場合、この流動資産と流動負債の数値が重要であり、「流動資産」÷「流動負債」の比率で確認します。
これを「流動比率」といいます。
この比率をみることで、取引先などの支払能力などをみることができるわけです。
「流動比率」は、少なくとも100%以上あることが一般的に必要とされています。
100%であれば、1年以内の支払い能力は確保されていることを意味します。
この例の場合、流動比率は151%となり、問題はないと考えられます。
流動資産をもっと厳密に確認するために、棚卸資産を除いて、「現金及び預金」、「受取手形」、「売掛金」、「有価証券」といった、より現金化しやすいものだけにした流動資産を「当座資産」と呼びます。
棚卸資産、つまり、在庫は、販売するというハードルをこえなければ、現金化できないものなので取り除いています。
この当座資産と流動負債の比率をみるものを「当座比率」といいます。
表では、当座資産と流動負債を比較すると、流動負債のほうが上回っています。
「流動比率」では151%と問題のない比率にもかかわらず、「当座比率」は75%となっており、流動比率との開きがかなり大きく、支払能力に不安がある状態となっています。
このような場合には、在庫が過剰であることが原因と考えられ、将来、在庫を順調に払い出すことができなければ、資金繰りを悪化させてしまう可能性があると考えられます。
会社が一年間でどれだけをどのように儲けたかを開示しているのが、損益計算書です。
損益計算書では、どのように儲けたかがわかるように、原因別に5つの区分で分けています。
売上げを上げるための一連のステップのどこでどのくらいの利益が出ているかわかるようにしたものです。
広告費や商品を売る販売員の給料、商品の配送にかかる運賃など、商品の販売にかかる費用を販売費と呼びます。
一般管理費は、商品自体や商品の販売に直接かかわらない、企業全般の管理面から発生する費用のことです。
販売費及び一般管理費は、営業経費、または、販管費と呼ばれています。
営業利益から、さらに、営業外の収益を加算、費用を減算したものが、経常利益です。
経常利益は、会社の営業利益に、財務活動による収益と費用が考慮されたものです。
経常利益には、本業以外での儲けが表されており、本業を補強し持続させるための企業の体力を知るため参考となるデータになります。
本業以外の収益としては、例えば、財テクで株を保有している場合の受取配当などがあります。
本業以外の費用では、銀行から借入をしている場合に発生する支払利息などがあります。
経常利益に特別利益を加算し、特別損失分を減産した後の利益を税引前当期純利益といいます。
平常時には起こらない、例えば、不動産など固定資産の売却や風水害による損失等臨時的なものが、特別損益になります。
税引前当期純利益をもとに税額が計算され、税金を引いたあとの利益が当期の最終の儲けとなります。これが当期純利益です。
売上原価についてさらに詳しくみてみましょう。
前期末の貸借対照表において、記載されている棚卸商品は、当期においては、期首商品残高となります。
この期首商品残高に当期に仕入れた分を加えることで、当期中にあったすべての商品の額を表すことになります。 損益の定義
期中に商品は売れて払い出されていきますから、期末時点で確認した商品残高額を差し引くことで、売れた分の商品の金額を算出することができます。
そして、期末の在庫は当期末の棚卸商品として、貸借対照表の資産の部に記録されることとなります。
損益計算書で、「利益」とされているお金が実際の現金であるとは限りません。
通常の取引においては、その場の現金決済ではなく、売掛金や買掛金として処理されるものが多くなっています。
これらは、実際の売上という収益になった日よりもあとに現金化されるためです。そのため、利益はあるのに現金が尽きて会社が倒産することもありえます。
こうした矛盾を防ぎ、現預金の「儲け」の流れを明らかにする必要から作成される決算書が、「キャッシュフロー計算書」です。
キャッシュフロー計算書では、「営業活動」、「投資活動」、「財務活動」の3つに分けて現預金の流れを記載しています。
記載方法には、収入や支出を直接書き込んでいく直接法と、損益計算書の税引前当期純利益から逆算して書き込んでいく間接法の2つがあります。
実務上では、間接法が主流です。
「営業活動」では、損益計算書での営業損益までの部分にほぼ対応しています。
売掛債権や仕入債務、減価償却費などの現預金の収支を掲載しています。
「投資活動」では、固定資産などの購入や売却にともなう現預金の増減が掲載されています。
通常は、固定資産の取得による現預金の支出が一般的となる欄です。
「財務活動」では、借入金や社債の発行や返済などの財務に関する現預金の増減が記録されます。
キャッシュフロー計算書は、基本的に貸借対照表の資産の部「現金及び預金」の増減の金額に合致します。
キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」の部分について見てみましょう。
「営業活動によるキャッシュフロー」では、本業でのキャッシュの増減を表しています。
ここがプラスの会社であれば、運転資金として必要な資金があり、健全な会社であるといえます。
ここがマイナスになっているときは、運転資金が足らず、何らかの資金の手当てや対策ができなければ、たとえ、利益が出ていても倒産という危険に陥る可能性があります。
「営業活動によるキャッシュフロー」でのポイントは「減価償却費」です。
損益計算書では、費用として差し引かれることによって利益が減少します。
しかし、キャッシュフロー計算書においては、現金の変化は一切ありませんから、利益に戻してあげなければいけません。
ですので、加算項目となります。
棚卸資産の増加については、今期の仕入れが多すぎて、期末の在庫が期首よりも増えてしまったということです。
損益計算書においては、期末在庫の分の現金支出が入っているため、ここで現金支出分を減算します。
キャッシュフローでは、全体としてのキャッシュの流れをつかむことが重要です。
一般的な企業のキャッシュフローが、その成長に応じて、どう変化するかをみることもできます。
創業期は、営業で稼ぐことはできず、また、投資も必要になるのでマイナスです。
その分を出資や借入れなどの財務活動キャッシュフローで補うためプラスとになります。
発展期は、この時期にようやく営業のキャッシュフローがプラスに転じていきます。
しかし、市場規模が拡大中なので、さらに継続的な投資で、キャッシュフローはマイナスのままです。
営業キャッシュフローでは、まだ、まかないきれるほどではないので、財務キャッシュフローの調達で補うことになりプラスになります。
成熟期は最大の稼ぎ時です。営業キャッシュフローをより多く稼ぎ、プラスになります。
余った一部を現状維持のための投資にまわすので、投資活動キャッシュフローはマイナスになります。
さらに余った分は、借入金の返済などの財務活動キャッシュフローにあてるためマイナスになります。
衰退期には、営業キャッシュフローは、限りなく小さくなってきます。
ここでは、設備を売却するなど資金を捻出するので、投資キャッシュフローはプラスになります。
また、借入金の返済などにあてる必要があり、財務活動キャッシュフローはマイナスになります。
キャッシュフロー計算書を分析する際には、このような企業の成長ステージを前提としながら、個別の分析指標での判断をして行くほうがより有効になります。
飲食店の損益分岐点とは~計算方法やシミュレーションと利益率向上施策
画像引用元:エクセルで作る飲食店メニュー
飲食店における損益分岐点比率
損益分岐点比率 = 損益分岐点 ÷ 売上高 損益の定義 × 100
ここでのポイントは、損益分岐点と比較して実際の売上高がどれくらい上回っているかになります。比率が低いほど赤字への耐性があり収益性が高いといえます。一般企業では損益分岐点比率は80~90%程度で、90%を超えると経営の見直しが必要とされていますが、飲食店では90%を切る企業はほとんどありません。
利益率が低い飲食店の特徴
- メニューの価格設定に問題がある(売上に対して高級な食材を使いすぎている)
- 仕事量に対して雇っている従業員が多く、人件費が利益を圧迫している
- テナント家賃が高額な場所に出店しており、売上に対して固定費が高い
飲食店の利益率を上げる方法
- 損益計算書(PL)を作成する
- コストを削減する
- FLコストを意識する
- 回転数を上げる
損益計算書(PL)を作成する
損益計算書(PL=Profit and Loss statement)とは、お店の売上高や家賃、水道光熱費などの固定費、食材などの原価(変動費)などをまとめたもので、1年間でどれくらい儲かったのか、損をしたのかといった経営成績を示す書類になります。
コストを削減する
FLコストを意識する
FLコストとは、飲食店の売上高のうち食材原価(Food)と人件費(Labor)の割合を求めた数字のことです。FLコストは、飲食店経営で最も重視すべき指標の一つであり、いかに食材原価と人件費を安く抑えるかが経営のカギを握る、といっても過言ではありません。
FLコスト = 食材原価 + 人件費
FL比率 = (食材原価 + 人件費) ÷ 売上高
一般の飲食店では、FL比率は50%台までに収めるのが良いとされています。たとえば、売上高200万円のカフェで、食材原価が50万円、人件費が70万円(正社員+アルバイトの給与)かかる場合、FLコストの計算は以下になります。
FLコスト = 食材原価50万円 + 人件費70万円 = 120万円
FL比率 = 120万円 ÷ 売上高200万円 = 60%
回転数を上げる
1.500万円 ÷ 客単価1,000円 = 1か月に必要なランチ売上数は5,000食
↓
2.5,000杯 ÷ 30日間(店休日なし) = 1日に必要なランチ売上数は約167食
↓
3.167食を20席で割って、1日に必要な回転数は約8.4回
IFRSと日本基準-財務諸表、損益計算書の違い Vol.3【事例で解説】
IFRSと日本基準の財務諸表における大きな相違点
(1)継続事業と非継続事業の区分表示
このように当期利益を2つに分けて表示する理由としては、「継続事業からの当期利益」に焦点を当てることで、将来、企業にどれだけのキャッシュ・フローが入ってくるかの予測に役立つことが挙げられます。非継続事業から生じる損益は将来にあまり影響を及ぼさないので、両者の損益区分がないと、将来予測の障害となる可能性があります。例えば、収益性が著しく低い売却予定の不採算事業があって、過去数年の当期利益が低く出ていたとしましょう。この場合、過去数年の当期利益水準の延長上で将来予測をすれば、この売却予定の不採算事業(=非継続事業)の損益によって、予測当期利益が下振れしてしまうでしょう。
(2)「経常的/臨時的」の区分がない
IFRSでは、「営業に関する損益」と「金融損益(営業以外に関する損益)」の区分のみ存在します。IFRSには、日本基準で「ケイツネ」と言われる「経常利益」(経常損失)の概念はなく、また、「特別損益」の表示も禁止しています。したがってIFRSにおいては、営業利益の次は、いきなり税引前利益になります。リストラ費用、固定資産の売却損益や火災・災害等の特別な事象による損益でも、特別損益を計上することは認められず、営業損益に含まれることになります。IFRSにおいて経常利益が存在しない理由は、特別損益が認められていないからだと考えることも可能です。
実は、経常利益は日本独特のものなのです。日本基準においては、臨時的に発生する巨額かつ特殊な損益(=特別損益)を含まない利益としての経常利益が、「通常な状態での収益力」を表す業績指標として重視されてきた背景があります。しかし、企業を経営する上で、様々な特別な事象が起きるのは当然であり、それらをコントロールするのも経営者の責任であり、特別損益までをも含めて収益力を測る、とするのがIFRS の考え方です。
損益計算書とその他の包括利益計算書の雛形
●事例:味の素の損益計算書を見てみましょう!
損益計算書を上から見ていきますと、「事業利益」 (注2) という項目が出てきますが、いったい何の利益かと疑問を抱く方もいることでしょう。これは、味の素が、独自の判断により追加したものです。下に出てくる営業利益とは区別する意図で、敢えて事業利益という名称が用いられています。このように、IFRSの特徴として、独自の判断により表示項目を追加することも可能です。 IFRSでは、日本基準のように段階損益 (注3) については具体的な定めはありませんが、企業の業績の理解を行う上で重要な場合には、追加的な表示科目、見出し、小計を表示することを要求しています。
会計の発生主義と現金主義の違い。発生主義がよく用いられる理由【シリーズ: 経理のはなし19 初心者向け】
会社の損益計算をする、すなわち費用と収益を計上する方法として「発生主義」と「現金主義」があります。今回はこの発生主義と現金主義の違いから、なぜ一般的に発生主義が用いられているかを説明していきます。
■決算の基本、期間損益計算とは?
■現金主義とは?
発生主義を説明する前に現金主義を説明しておきましょう。
現金主義とは、収益を現金等の入金時に認識・計上し、費用を現預金の出金時に認識・計上する会計処理の方法です。
この会計処理をとると、収入=収益、支出=費用となります。
ちなみに、収入とは、ある取引において現金や預金に入金があるものを指し、その反対の現金や預金から出金したものを支出といいます。きわめて素朴な会計処理方法といえるでしょう。
日本では、小規模事業者である青色申告者の事業所得等については現金主義による会計処理が認められています(所定の手続きが必要です)。
■発生主義とは?
引用:厚生労働省Webサイト 「 損益計算書原則 」より
つまり、発生主義は現預金の支出・支払に限らず、支出および収入の必要性(=経済的事実)が発生した期間に計上する必要があります。
したがって、発生主義で会計処理をすると、必ずしも収入=収益と支出=費用が成り立つとは限りません。
では、発生主義と現金主義の違いを12月決算の法人の例で具体的に説明しましょう。
1/16に現金で10,000円の水道光熱費を支払った。
水道光熱費の計算期間は12/1~12/31であった。
・現金主義による仕訳
現金の支払いが1/16に発生しているので、日付が1/16になります。
・発生主義による仕訳
発生主義では実際の支払いとは関係なく12/31に費用として計上されます。その後、現金の支払いが発生したら再び仕訳します。
現金主義では今期の期間損益計算に水道光熱費10,000円が含まれ、発生主義では前期の期間損益計算に水道光熱費が含まれます。そのため、それぞれの営業利益額に10,000円の差が生じます。
損益計算書原則にある「その発生した期間に正しく割当てられるように処理」とは、先程の例にいう「水道光熱費の計算期間」を指します。 損益の定義
現在の商取引においては、飲食業などの特定の業種を除けば、売掛金や買掛金に代表される“信用取引”が中心となっています。したがって、正しく損益を計算するためには、発生主義による会計処理が必要であり、かつ重要です。
次回は、今回の発生主義の続きで、「前払費用・前受収益・未払費用・未収収益」という経過勘定科目を説明したいと思います。
財務諸表の見方
有形固定資産 建物・構築物、土地、工具・器具・備品等、有形で実在している資産 無形固定資産 ソフトウエア、電話加入権、営業権など無形で長期にわたり有効な権利 投資等その他資産 投資有価証券など長期にわたり保有する資産 流動負債 短期借入金や支払手形・未払金など、決算後1年以内に返済しなければならない債務を言います。 固定負債 社債、転換社債、長期借入金など、決算日から返済日まで1年超の期限がある債務を言います。 純資産(資本) 投資家から集めたお金と、企業がこれまでに蓄積した利益の総計を言います。
貸借対照表でチェックしたい項目
損益計算書
損益計算書の例
① 売上高 損益の定義 ② 売上原価 | 237,674 180,662 |
③ 売上総利益 ( ① - ② ) | 57,012 |
④ 販売費・一般管理費 | 47,391 |
⑤ 営業利益 ( ③ - ④ ) | 9,621 |
⑥ 営業外収益 ⑦ 営業外費用 | 935 403 | 損益の定義
⑧ 経常利益 ( ⑤ + ⑥ - ⑦ ) | 10,損益の定義 153 |
⑨ 特別利益 ⑩ 特別損失 | 186 1,115 |
⑪ 税引き前当期純利益 ( ⑧ + ⑨ - ⑩ ) | 9,224 |
⑫ 法人税等、税金 | 4,309 |
⑬ 当期純利益 ( ⑪ - ⑫ ) | 4,915 |
- ① 売上高
通常の事業活動で得られた収入。連結貸借対照表を見るときにも使う数字です。 - ② 売上原価
売上高に要した商品などの仕入原価・製造原価のことを言います。 - ③ 売上総利益
売上高から売上原価を引いたもの。俗に言う「粗利」のことです。 - ④ 販売費・一般管理費
売上高に対する支出の諸経費。「販売費」には広告宣伝費などが、「一般管理費」には人件費・地代家賃・通信交通費などが該当します。 - ⑤ 営業利益
売上高から売上原価と販売費、及び一般管理費などの支出を引いたもので、企業の1年間の営業活動の成果を示します。 - ⑥ 営業外収益
営業活動以外の原因で経常的に生じる収入。受取利息・受取配当金などの金融収益、有価証券売却益などがあります。 - ⑦ 営業外費用
営業活動以外の原因で経常的に生じる支出。支払利息などの金融費用、有価証券売却損などがあります。 - ⑧ 経常利益
営業利益に営業外損益を加減したもので、企業の1年間の本来の意味での経営成果を示すものであって、業績を判断するうえで最も重要なものです。 - ⑨ 特別利益
臨時に発生した収益等で、経常的な営業活動によって発生する経常損益に含めることのできない利益。固定資産売却益などがあります。 - ⑩ 特別損失
臨時に発生した損失等で、経常的な営業活動によって発生する、経常損益に含めることのできない損失。固定資産売却損などがあります。 - ⑪ 税引き前当期純利益
経常利益に特別損益を加減したものです。 - ⑫ 法人税等、税金
法人税、住民税、事業税といった税金の総計です。
損益の定義 - ⑬ 当期純利益
税引き前当期純利益から法人税、住民税及び事業税等を控除し、法人税等調整額を加減した最終的な利益です。
損益計算書でチェックしたい項目
営業利益 本業で利益を上げているか。営業利益の赤字が続く企業は要注意 販売費・一般管理費 同業企業や過去と比較して、膨らみすぎていないか(経費削減など企業のスリム化が図られているか) 経常利益 本業以外の借入金(利息支払)や投資等による支出は適当な金額か(本業の足を引っ張っていないか)
キャッシュフロー計算書
営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローの例
税引き前当期純利益 減価償却費 貸倒引当金の増加額 受取利息、及び受取配当金 支払利息 有形固定資産売却損 売上債権の増減額 棚卸資産の増減額 仕入債務の増減額 | 500 300 10 △2 2 10 △5 △95 △10 |
小計 | 710 |
利息、及び配当金の受取額 利息の支払額 損害賠償金の支払額 法人税等の支払額 | 2 △2 △10 △400 |
営業活動によるキャッシュフロー | 300 |
営業活動によるキャッシュフローでチェックしたい項目
営業活動によるキャッシュフロー(金額) 最終金額がプラスであるかどうか。プラスが多ければ多い程経営状況が良い。 売上債権、仕入債務の増減額 過去や同業他社と比較して大きな動きがないかを確認することで、他社との取引状況の変化を確認できる。売上債権の増大(未回収の売上代金が増えた)はキャッシュフローの減少(マイナス)につながり、仕入債務の増大(仕入代金の未払分が増えた)はキャッシュフローの増加(プラス)につながる。 棚卸資産の増減額 棚卸資産が増大し在庫がたまりすぎていないか。在庫の減少がキャッシュフローの増加(プラス)につながる。
投資活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローの例
有価証券の取得による支出 有価証券の売却による収入 有形固定資産の取得による支出 有形固定資産の売却による収入 貸付による支出 貸付金回収による収入 | △100 30 △30 10 △5 10 |
投資活動によるキャッシュフロー | △85 |
投資活動によるキャッシュフローでチェックしたい項目
投資活動によるキャッシュフロー(金額) 営業キャッシュフロー金額内(プラス分)でマイナスであれば、積極的かつ適度な投資活動が行なわれていると推測できる。 有価証券・有形固定資産の取得による支出 将来に向けて積極的な投資活動が行なわれているかどうか。5~10年間分のキャッシュフローを見比べて、長期的な投資活動を確認すると良い。
財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローの例
短期借入による収入 短期借入金の返済による支出 長期借入による収入 長期借入金の返済による支出 株式の発行による収入 配当金の支払額 | 10 △30 20 △10 10 △10 |
財務活動によるキャッシュフロー | △10 |
財務活動によるキャッシュフローでチェックしたい項目
キャッシュフロー計算書(営業・投資・財務)から推測できる企業状況
経営状況が良好な優良企業 営業キャッシュフローが大きくプラスであり、そのプラス分で投資キャッシュフローと財務キャッシュフローが賄われている。 事業拡大を目指している企業 営業キャッシュフローでプラスを計上しているが、投資キャッシュフローによるマイナス分を賄えず、資金調達のために財務キャッシュフローがプラスとなっている。 経営状況が悪化している企業 営業キャッシュフローがマイナスとなり、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローのプラス分で資金を補っている。保有していた資産の売却や借入金等によって資金を調達している。
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