来週の相場で注目すべき3つのポイント:米ISM景気指数、米雇用統計、トリプルアイズIPOなど
外国為替 2022年05月28日 19:00
© Reuters.
米中二大国で経済指標の下振れが相次ぐなか、景気後退入りの懸念が一段と強まっている。
しかし、少しずつだが明るい兆しも見られつつある。
20日にはタカ派で有名なセントルイス連銀のブラード総裁が、条件付きはとはいえ、2023年以降からの再緩和の可能性に言及。
また、23日にはアトランタ連銀のボスティック総裁が9月に利上げをいったん停止する可能性を示唆するなど、これまでタカ派一辺倒だったFRB高官に、スタンスの変化が見られつつある。
こうした中、市場では利上げの過度な織り込みが後退しつつあり、景気後退懸念も相まってのことだが、米10年債利回りは今週2.相場の天井 7%台まで低下、5月6日の3.14%をピークとした低下基調が鮮明になっている。
期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も低下基調にある。
インフレピークアウト感が漂うなか、10年債利回りから期待インフレ率を差し引いた実質金利も上昇が一服して安定してきており、高い変動率が続いてきた株式市場の落ち着きに寄与し始めているとみられる。
来週は中国の購買担当者景気指数(PMI)のほか、米国ではサプライマネジメント協会(ISM)が公表する製造業・非製造業の景気指数、雇用統計などが発表される。
投資家の関心がインフレや金融政策から景気後退の可能性に移ってきているなか、指標結果に対する注目度は今まで以上に高まっていると言える。
来週はこうした指標結果を、固唾を呑んで見守ることになるため、神経質になりやすいだろう。
一方、米国債利回りに対する社債の上乗せ分、いわゆるクレジットスプレッドの動きなどに注目したうえで、複数の機関がほぼ同じタイミングで、ボラティリティーがピークを迎えたこと及び株式市場の底打ちが近いことを指摘した。
相場は徐々に反転トレンド入りするタイミングに近づきつつあると考えられる。
このため、来週は神経質ながらもリバウンド局面を迎える前の底値固めの週になると期待したい。
来週のドル・円は下げ渋りか。
米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締め姿勢を変えていないため、景気減速への懸念が高まっている。
FRB当局者からは中立金利への引き上げを急ぐ必要があり、金融引き締めを加速させるとの見解が相次いでいる。
ユーロ圏の経済指標は強弱まちまちながら、欧州中央銀行(ECB)もラガルド総裁を筆頭に、FRBに追随し正常化に舵を切る方針。
5月31日に発表されるユーロ圏5月消費者物価指数が予想を上回る内容なら、7月利上げを期待したユーロ買い・米ドル売りが優勢となり、この影響でドル・円の取引でもドル売りが優勢となりそうだ。
ただ、6月3日発表予定の米雇用統計が大幅に悪化するとの見方は少ないこと、日本銀行は現行の金融緩和策を長期間維持する方針を変えていないため、日米金利差拡大の思惑は後退しない。
また、5月米雇用統計で非農業部門雇用者数が4月実績を多少下回った場合でも、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性は低いと予想される。
失業率の低下はドルに対する支援材料となり得よう。
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