固定相場制
未完の変動相場制への移行
図1 主要通貨に対する人民元レートの変動
図2 人民元の対ドルレートと外貨準備の変化(月次)
人民元改革の進展
図3 人民元の対ドルレートの推移:中間レートVs.前日の終値
これまでの人民元中間レートの決定要因
図4 成長率とインフレ率によって説明される人民元の対ドル中間レートの動き
(注)推計値は以下の回帰分析による。
人民元の対ドル中間レートは各期間内の平均値。
推計期間:2005年第3四半期~2015年第2四半期
図5 外貨準備変動のメカニズム
「管理変動相場制」から「完全変動相場制」へ
自由な資本移動 | 独立した金融政策 | 固定為替レート | 例 | |
---|---|---|---|---|
資本規制 | × | ○ | ○ | 人民元改革前の中国 |
通貨同盟 | ○ | × | ○ | 香港、ユーロ圏内 |
変動相場制 | ○ | ○ | × | 日本、オーストラリア |
管理変動相場制 | △ | △ | △ | 現在の中国 |
(出所)筆者作成 |
BOX SDRの構成通貨拡大の有力候補となった人民元
IMF協定第30条(f)によると、自由利用可能通貨とは、「①国際取引上の支払を行うため現に広範に使用され、かつ、②主要な為替市場おいて広範に取引されていると基金が認めるものをいう」。実際、IMFは2015年に行われたSDRバスケットの見直しの中間レビューにおいて、「自由利用可能通貨の概念は、実際に国際的に利用されていることや通貨取引を重視しており、通貨が自由に変動するか或いは完全に交換可能であるかということではない」と強調している(IMF, "IMF Work Progresses on 2015 SDR Basket," 固定相場制 August 4, 2015)。それに従えば、変動相場制に向けた「人民元改革の進展」よりも、「人民元の国際化」の進展が評価の基準となる。
為替相場制度の選択
それでは、実際にそのような傾向は観察できるのでしょうか。その点を図表1で確認してみましょう。ここで集計されている各国の為替相場制度は、IMFが毎年公表するAnnual Report on Exchange Arrangements and Exchange Restrictionsに掲載されているDe Facto Classification of Exchange Rate Arrangements and Monetary Policy Frameworks (為替相場制度と金融政策の枠組みの実態に基づく分類)の最新版(2014年4月30日現在)に基づいています。
【先進国における傾向、新興国・途上国における傾向】
そこで、資本取引規制の自由化が進んでいるOECD加盟国だけをとったらどうなっているかを見たのが、図表2です。ここでは、OECD加盟各国(34か国)について、①IMFの分類による各国の為替相場制度(最新データ=2014年)と、②Fernandez, Klein, Rebucci, Schindler, and Uribe (2015) が作成した各国の資本取引規制の程度(最新データ=2013年)を両軸とするマトリックスの形で整理しています。これを見ると、OECD加盟国の大部分は、資本取引の自由化が進んでおり、かつ為替相場制度としては「フリー・フロート制」が採用されていることが分かります。
それではなぜIMF加盟国全体では見られないのでしょうか。それは、IMF加盟国には資本取引の自由化が進んでない新興国や途上国が数多く含まれており、これらの国々は、ソフト・ペッグを採用している国が多いからです。こうした国々では、インポッシブル・トリニティーに迫られることがないので、極力、変動制を避け、為替レートを安定化することを選好する傾向があるのです。こうした傾向は、「フローとすることへの恐怖」(fear of floating)と呼ぶこともあります。
通貨が壊れるとき(タイ・バーツ編)
Borderless Works Co.,Ltd. 代表 日本企業の海外駐在員として9年にわたる上海・香港勤務を経て2005年から現職。駐在員時代から17年に及び上海・香港を拠点におこなってきた金融や不動産投資の知識・経験を生かし、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)として活動。 香港における投資助言業(SFC)と保険代理業(PIBA)の免許を保有するエキスパートとして顧客のライフプランに即した投資計画の立案、資産運用商品・保険の仲介、海外金融機関の口座開設・運営のサポートをおこなっている。 【寄稿者にメッセージを送る】
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